【歯科医師が解説】なぜ歯医者の治療は一回で終わらないのか?
2024.12.07
こんにちは。多田歯科医院、院長の多田 利哉です。
本日は「なぜ歯医者の治療は一回で終わらないのか?」についてお話しします。
歯医者への希望、疑問をお尋ねするとさまざまな答えが返ってくることでしょう。
その中でも間違いなく皆さんの中にある疑問が
「歯医者の治療を一回で終わらせてほしい」
「なぜ歯医者の治療は一回で終わらないのか?」
と思われます。
近年企業のホワイト化が進んでいるとはいえ、仕事や学校を調整し、歯医者に来院するのも、非常に大変です。
よくネットには、
「歯医者の治療を一回で終わらせないのは、お金を稼ぐためだ」
など記載がございますが、そのようなことはございません。
私(歯科医師)もできれば、皆さんお忙しい中時間を空けてくださっているので、一回で終わらせたいのですが、現実は1回で終わらせたくてもなかなかそうはいかないのです。
そこで今回は、「なぜ歯医者の治療は一回で終わらないのか?」についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただけると、どうして歯科治療が何回もかかるのか、どんな歯が何回もかかるのかがお分かりいただけると思います。
1回で終わらない理由
歯科医師の観点から、歯科治療が1回で終わらない理由は主に4つございます!
- 国によって、治療の流れを決められているから
- 歯科治療は外科処置の一つだから
- 治療箇所だけでなく、お口の中全体のバランスをみる必要があるため
- 痛くなると対処が難しくなるから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.国によって、治療の流れを決められているから
一つ目の理由は、国によって、治療の流れを決められているからです。
みなさんもご存じの通り、日本の医療には保険と自費があります。
自費は自由診療とも言われる通り、患者さんと歯医者の間でお話し合いの上、自由に診療がしやすいものになっております。
一方で保険診療では、国民皆保険と呼ばれ、国が医療費を負担しております。
そのため、国が歯科治療を進めるに当たってのルールを作っています。
このルールを守らないと国から医療費を負担してもらえないため、歯医者としては治療の流れを守らないといけません。
一例を挙げると歯周病治療です。
歯周病治療では、『歯周病検査→歯周基本治療→後日、再検査→歯周病の治療計画の修正→再治療か、歯周外科治療→後日、再検査』というように進めるように決められています。
どれかを飛ばして治療することは、保険診療のルールからできません。
これも、歯科治療が一度で終わらない理由のひとつです。
2.歯科治療は外科処置の一つだから
2つ目に歯科治療は、外科処置が多いため、一回で終わらないという点です。
外科処置と聞くと大きな病院で、入院し手術をイメージされそうですが、簡単にいうと薬だけに頼らない何らかの処置を伴う治療法と思ってください。
歯科でも薬だけの治療(”内科的な治療”といいます)はあります。
ですが、歯科治療の大部分は何らかの処置を伴います。
ですから、歯科治療は基本的に外科処置なのです。
その上で、歯科治療=外科処置のため、2つの注意が必要になります。
注意1:処置は順序立てて進める
歯科治療に限らず、”処置”は順序立てて進めていきます。
歯の根のところにまで進んだ虫歯を例にしますと、『虫歯を削る→神経の消毒→神経の空洞を詰める→土台の型取り→土台を入れる→被せ物の型取り→被せ物をつける』といった感じです。
どこかを飛ばすと、治療はうまく進みません。
治療で説明されると理解しづらいという方に、
家の建築でいうと
『土地の整地 → 基礎工事 → 土台作り → 骨組みを組む → 外壁や屋根をつける → 内装工事 → 完成』の順序ですが、仮に骨組みを飛ばすと、家は建たないといったイメージです。
歯科治療が処置中心の治療であることも、1回で治療が終わらない理由のひとつです。
注意2:治りを待つ必要があるから
処置の内容によっては、”治り”の期間が必要になります。
例えば、歯を抜いてブリッジや入れ歯を作るとします。
抜いたと同時にブリッジや入れ歯を作ると、治療の回数はそれだけ減りますが、それはできません。
なぜなら、抜いたところが落ち着く前にブリッジや入れ歯の型取りをすると、ブリッジや入れ歯が出来上がったときに、抜いた後の歯肉の形と合わなくなってしまうからです。
治療を同時進行で進めたくてもできないので、必然的に治療の回数も多くなってしまいます。
3.治療箇所だけでなく、お口の中全体のバランスをみる必要があるため
3つ目は、治療箇所だけでなく、お口の中全体のバランスをみる必要があるためです。全体のバランスをみる時に、たくさんの歯を同時に治療することが難しくなってきます。
というのも実は、みなさん何気なく使っていますが、実は咀嚼(よく噛むこと)という行為は、非常に繊細な中で成り立っております。
その例をいくつか紹介します。
噛み合わせのずれを防ぐため
下顎は、上顎骨からぶら下がった状態なので、下顎の位置は不安定です。
不安定な下顎の位置を安定させる要素の一つは、噛み合わせです。
もし、左右両方の歯を同時に削ったり、抜いたりしたら、噛み合わせが変わってしまいます。
すると、下顎の位置が変わってしまいます。
一度変えた下顎の位置は元に戻すことはできません。左右両方ではなく、片方ずつなら噛み合わせの位置が変わりにくいので、下顎の位置もずれにくいです。
噛み合わせの位置のずれを防ぐことは、少しずつしか歯の治療を進めていかない理由の一つです。
噛めなくなる可能性があるから
左右の複数の虫歯を同時に削って治療すると、噛める歯が減ってしまいます。
片方ずつなら、反対側で噛めますから食事ができます。
噛めるところを残しておくというのも、たくさんの歯を同時に治療できない理由のひとつです。
このように単にその部分の治療だけでしたら、特に一回の治療で問題ございませんが、お口の中の全体のバランスを見た時に一度だけではなかなか治療を行えないのです。
4.痛くなると対処が難しくなるから
最後の理由に、「痛くなると対処が難しくなるから」が挙げられます。
たくさんの歯を同時に治療した場合、治療した複数の歯に痛みが出たとき、どの歯が痛いのかわからなくなる可能性があります。
また、痛み方によって対処法が異なりますが、異なる治療法を同時に進めることは大変困難です。
痛みが生じたときの対処が難しくなる可能性を少しでも減らすためにも、たくさんの歯を同時に治すのは避けた方が安心です。
1回で終わらせるには
もちろん、すべての歯科治療が何回もかかるわけではありません。
中には1回で終わる治療もあります。
1回で終わる治療の特徴
1回で終わる治療の特徴は、初期の虫歯です。
虫歯が初期のうちに見つけられたら、コンポジットレジン充填という虫歯を削ったところに直接コンポジットレジンというプラスチックを詰める治療法で治せます。
型取りが必要ないので、治療が1日で終わります。
1回で治療を終わらせるには
1回で歯科治療を終わらせるには、初期のうちに虫歯を見つけて治療することです。
ところが困ったことがひとつあります。
虫歯も初期のうちは、自覚症状が少ないという点です。
自分で気が付かないのです。
そこで、初期のうちに見つけ出すためには、歯医者に定期的に通って歯やお口の状態をチェックしてもらうことが一番です。
歯科治療を1回で終わらせるポイントは、歯やお口の定期検診なのです。
まとめ
今回は、歯科治療が何回も続く理由を中心にお話ししました。
歯科治療が1回で終わらず、何回も続くのは、
- 国によって、治療の流れを決められているから
- 歯科治療は外科処置の一つだから
- 治療箇所だけでなく、お口の中全体のバランスをみる必要があるため
- 痛くなると対処が難しくなるから
決して、歯医者がわざと長引かせているわけではないのです。
もちろん、1回で終わる治療もあります。
もし、歯科治療を早く終わらせたいなら、定期的に歯医者に通い、虫歯をごく初期の段階で見つけ出し、早期に治療を受けるようにすることです。当院では、定期検診を通して、虫歯治療に要する期間を少しでも短縮するように努めています。
少しでも歯科治療の時間を短くしたいと思っていらっしゃる方は、当院でぜひご相談ください。
岡山市北区中仙道にある多田歯科医院
多田歯科医院は岡山市北区中仙道にございます。
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