【歯科医監修】なぜ、親知らずの抜歯は難しいと言われるのか?
2025.07.21
こんにちは。多田歯科医院、院長の多田 利哉です。
本日は「親知らずの抜歯が難しい理由」についてお話しします。
親知らずは、最も奥に、そして最後に生えてくる親知らずです。
虫歯や炎症の原因になりやすく、虫歯や炎症を起こした親知らずの多くが抜歯になります。
親知らずの抜歯は、普通の歯の抜歯より難しいことが多いです。
今回は、親知らずの抜歯が難しい理由についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただけると、親知らずの抜歯がどうして難しいのかがお分かりいただけると思います。
生え方がよくない
まず挙げられるのが、親知らずの生え方です。
親知らずが生えてくる頃には顎の骨の成長発育は終わっています。
その時点で、親知らずがきちんと並ぶほどのスペースがなければ、きちんと生えてくることはありません。
下顎の親知らず
下顎の親知らずの生え方がよくない場合、一部見えているだけということもあれば、極端な例では上下逆さまになっている親知らずも見られます。
一見すると真っ直ぐに生えているように見えても、後ろ側が歯肉で覆われているということもあります。
横向きの場合でも、横に向く角度が外に大きく傾いている親知らずもあり、その場合の抜歯は親知らずの向きが歯並びに並行な場合以上に難しくなります。
上顎の親知らず
上顎の親知らずも生え方がよくないケースは多いです。
下顎の親知らずと同じく、横に倒れていることもあれば、斜めになって手前の奥歯の歯冠と歯根のあたりに食い込んでいるような生え方になっていることもあります。
なお、上顎の場合は、下顎のように横に大きく角度がついているようなことはあまりありません。
歯の形の複雑さ
親知らずは人類にとって退化傾向にある歯です。
このため、他の歯は大きさや形がほぼ一定なのに対し、親知らずは大きさや形がまちまちです。
小指より小さいこともあれば、親指くらいある親知らずもありますし、根が八の字のように広がっている親知らずもあれば、根は1本だけですらっとした親知らずもあります。
根の先がL字に曲がっていることもあり、歯の形の差がとても大きいのです。
もし、根の先が八の字に広がっていたり、L字になっていたりしたら、それだけで抜歯の難度がグッと上がります。
根の形が太い寸胴で大きい場合も同様です。
歯の形によっては、抜歯がたいへん難しくなります。
位置
上顎の親知らずの抜歯では、その位置も抜歯の難度に関係しています。
実は、親知らずを抜歯するときに親知らずを直視できないことがほとんどです。
ミラーテクニックといって、歯科治療で使う丸い鏡で親知らずを見ながら抜歯しなければなりません。
歯科以外の外科手術で鏡の像を見て手術することはまずありません。
鏡は前後が反対になるので、それを見ながらの処置はたいへん難しいからです。
親知らずも鏡を見ながら抜歯するのはとても難しいです。
必然的に抜歯に使う器具から指先に伝わる感覚を頼りとした抜歯とならざるを得ず、直視できないという位置条件も親知らずの抜歯を難しくしています。
なお、下顎の親知らずはおおむね直視できます。
骨の問題点
親知らずの周囲の骨自体にも親知らずの抜歯を難しくする要因が潜んでいます。
硬さ
これは、下顎の親知らずの場合ですが、下顎骨は緻密骨というとても硬い骨でできています。
抜歯をするときには、どの歯もそうなのですが、骨のしなりがとても重要です。
骨が硬いと、骨がしなりにくいので抜歯が難しくなります。
なお、上顎骨は海綿骨という比較的やわらかい骨で作られていますので、骨の硬さが抜歯の難しさにつながることはほとんどありません。
上顎結節
上顎結節は、上顎の親知らずの内側あたりにある上顎骨の盛り上がった部分です。
上顎の親知らずの中には上顎結節とくっついていることがあり、親知らずの抜歯の際に一緒に取れてしまいます。
取れるだけなら問題ありませんが、取れ方によってはそれが出血の原因になることがあります。
周囲の重要な組織
親知らずの周囲には重要な組織がいくつかあり、抜歯後に合併症を引き起こす可能性があります。
親知らず以外にはなかなか見られない特徴です。
下顎の親知らず
下顎の親知らずの場合は、下歯槽神経、下歯槽動脈、舌神経です。
下歯槽神経は下唇や下顎の先の感覚を司る神経、下歯槽動脈は太い動脈です。
舌神経は舌の味覚などの感覚を司る神経です。
下歯槽神経と下歯槽動脈は、下顎骨のL字型になっているところの骨の中を通っています。
レントゲン写真やCTで写し出されるのでわかりやすいですが、舌神経はレントゲン写真やCTでは見えないのでどこを通っているのかがわかりません。
下顎の親知らずの抜歯では神経や動脈を傷つけるリスクがあり、神経を傷つけるとその神経が支配している部分の感覚が鈍くなってしまいます。
上顎の親知らず
上顎の親知らずの場合は、上顎洞という鼻の隣、目の下、上顎の上にある骨の空洞が問題になります。
上顎洞の底を形作っている骨が薄い場合や、親知らずの根の先が突き抜けている場合、親知らずを抜くと、上顎洞の底に穴が開くことがあります。
穴の形や大きさによっては、お口と上顎洞がつながってしまい、お口に含んだ水分が鼻に流れ込む可能性が否定できません。
また、上顎洞の中に親知らずが入ってしまうこともあります。
まとめ
今回は、親知らずの抜歯が難しくなる理由についてお話ししました。
親知らずの抜歯が難しいのには、“生え方” “歯の形” “骨の硬さ”などが関係しています。
しかも、親知らずの周囲には重要な神経や血管などがあり、抜歯に際して合併症のリスクも高いです。
このため、親知らずの抜歯には専門的な知識に裏打ちされた確かな技術が必要とされています。
当院は、親知らずの専門知識や抜歯経験の豊富な歯科医院です。
親知らずのことでお悩みの方、相談したいことがある方は、当院にぜひお越しください。
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