食事がしづらいのは口腔機能低下のサイン?嚥下トラブルの予防法

2025.11.26

こんにちは。多田歯科医院、院長の多田 利哉です。
本日は「食事がしづらいのは口腔機能低下のサイン?嚥下トラブルの予防法」についてお話しします。

「最近、食事中にむせることが増えた」「食べるのに時間がかかるようになった」「お茶を飲むと咳き込みやすい」。

こうした症状がある場合、口腔機能(お口の働き)が低下しているサインかもしれません。
食べることは、ただ栄養を摂るためだけでなく、人生の楽しみでもあります。

しかし、口腔機能が衰えると、「しっかり噛む・飲み込む」ことが難しくなり、誤嚥(ごえん)による肺炎や低栄養など、全身の健康にも影響を及ぼす恐れがあります。

今回は、そんな「食事のしづらさ」の背景にある口腔機能低下(オーラルフレイル)について、その原因・チェックポイント・予防法を詳しくご紹介します。

1.口腔機能低下とは?

「口腔機能」とは、口や舌、唇、喉の働きによって、食べる・話す・飲み込むといった機能がスムーズに行える状態を指します。

この機能が加齢や病気、生活習慣の影響などで少しずつ衰えていくことを「口腔機能低下」と呼びます。特に高齢者では、歯の喪失や筋力低下、唾液量の減少などが重なりやすく、気づかないうちに進行していることも少なくありません。

厚生労働省でもこの状態を「オーラルフレイル(口の虚弱)」と位置づけており、健康寿命を延ばすために早期発見・予防することが非常に重要とされています。

2.口腔機能低下がもたらす影響

口の機能が衰えると、次のような問題が起こることがあります。

  • 食事中によくむせる
  • 飲み込みにくい、のどに引っかかる感じがする
  • 噛む力が弱くなり、硬いものを避けるようになる
  • 食べる量が減り、低栄養や体重減少につながる
  • 会話が不明瞭になる、声がかすれる
  • 誤嚥性肺炎のリスクが高まる

これらの変化は「老化だから仕方ない」と思われがちですが、多くの場合、早めの対策で進行を遅らせることが可能です。

胸が苦しい様子

3.口腔機能低下のチェックリスト

以下の項目に当てはまるものがある方は、口腔機能が低下している可能性があります。
ご自身やご家族の状態を一度チェックしてみましょう。

  • 食事中によくむせる
  • 飲み込みに時間がかかる
  • 硬いものが噛みづらい
  • 舌がよく回らない・ろれつが回らない
  • 以前より食欲が減った
  • 1回の食事量が減った
  • 口が乾きやすい

1〜2個当てはまる場合でも、口腔機能が少しずつ衰え始めている可能性があります。
複数当てはまる場合は、歯科医院や医療機関での専門的なチェックをおすすめします。

4.嚥下(えんげ)機能の低下とは

「嚥下(えんげ)」とは、口の中の食べ物をのどを通って胃に送り込む一連の動きのことです。

この嚥下機能が低下すると、食べ物や飲み物が誤って気道に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。誤嚥を繰り返すと、誤嚥性肺炎という重い病気の原因にもなります。

特に注意したいサインは次の通りです。

  • 食事や飲み物でむせる回数が増えた
  • 飲み込むときにゴロゴロと音がする
  • 食後に声がかすれる
  • 咳払いが増えた

嚥下機能の低下は進行するまで自覚しにくいため、ちょっとした変化に気づくことが大切です。

5.口腔機能低下・嚥下トラブルの主な原因

  • 加齢による筋力低下
  • 歯の喪失・義歯の不適合
  • 口腔乾燥(ドライマウス)
  • 生活習慣(やわらかいものばかり食べる、会話が少ないなど)
  • 病気(脳卒中、パーキンソン病、糖尿病など)
  • 薬の副作用(唾液の減少など)

特に高齢になると、複数の要因が重なって機能が落ちやすくなるため、日常生活の中で意識的に口を使うことがとても重要です。

6.口腔機能低下・嚥下トラブルの予防法

1.よく噛んで食べる習慣をつける

やわらかい食品ばかりを食べていると、口の筋肉が衰えていきます。
日常の食事に「噛みごたえのある食材」を取り入れることで、咀嚼筋のトレーニングになります。

おすすめの食材例

  • レンコン、にんじん、ごぼうなどの根菜
  • リンゴなど少し硬めの果物
  • しっかり火を通したお肉や魚

ただし、無理に硬いものを食べるのではなく、自分に合ったレベルの噛みごたえを選ぶことがポイントです。

2.舌・口まわりの筋トレをする

嚥下機能や発音の衰えには、舌や唇の筋力低下が関係しています。

簡単なトレーニングを習慣化することで、飲み込みやすさ・話しやすさの改善が期待できます。

簡単トレーニング例

  • 舌を上下・左右にしっかり動かす
  • 口をすぼめて「うー」、横に広げて「いー」を繰り返す
  • 早口言葉や朗読で舌の動きを鍛える
トレーニングをしている女性の様子

3.唾液分泌を促す

唾液は、食べ物をまとめて飲み込みやすくするだけでなく、細菌の繁殖を防ぐ大切な役割があります。
唾液を増やすには、以下の方法が効果的です。

  • よく噛んで食べる
  • 唾液腺マッサージをする(耳下腺・顎下腺・舌下腺を軽く押す)
  • ガムを噛む

4.定期的に歯科検診を受ける

口腔機能低下や嚥下トラブルは、歯科医院でのチェックとケアによって早期発見・予防が可能です。

歯科医院では、歯や入れ歯の状態だけでなく、舌や唇の動き、噛む力、飲み込む力なども評価できます。必要に応じて、口腔機能訓練やリハビリの指導を受けることもできます。

7.誤嚥性肺炎を防ぐために

口腔機能の低下を放置すると、食べ物や唾液が気道に入り、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
誤嚥性肺炎は高齢者の入院理由としても多く、重症化しやすい病気です。
予防のためには以下が重要です。

  • 食事中の姿勢をまっすぐに保つ
  • 小さな一口でゆっくり食べる
  • 口の中をきれいに保つ(口腔ケア)
  • 飲み込みにくい食材の工夫(とろみをつける、細かく刻むなど)

さらに、歯科医院と医療機関の連携によって、より安全な食生活を続けることが可能になります。

テーブルで食事をしている女性

8.まとめ

  • 食事のしづらさやむせは、口腔機能低下のサインかもしれません。
  • 嚥下機能の低下は誤嚥性肺炎のリスクを高めるため、早期対策が大切です。
  • よく噛む・舌や口まわりを動かす・唾液を増やすなどの習慣が予防になります。
  • 定期的な歯科検診で、口腔機能を維持・改善しましょう。

「食べる力」は、生きる力です。
ちょっとした変化にも目を向け、健康な毎日を一緒に守っていきましょう。
歯や口の機能に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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