誤嚥を防ぐ食べ方・飲み方とは?日常でできる口腔体操
2025.12.22
こんにちは。多田歯科医院、院長の多田 利哉です。
本日は「誤嚥を防ぐ食べ方・飲み方とは?日常でできる口腔体操」についてお話しします。
年齢を重ねると、飲み込む力(嚥下機能)や舌・のど・口まわりの筋力が少しずつ低下し、誤嚥(ごえん)を起こしやすくなることがあります。
誤嚥とは、本来食道へ送られるはずの食べ物や飲み物が、誤って気道(気管)へ入ってしまうことです。これをきっかけに誤嚥性肺炎を起こすと、入院が必要になったり、重症化することもあります。
ですが、日常のちょっとした工夫で誤嚥は予防することが可能です。
この記事では、誤嚥を防ぐための食べ方・飲み方のポイントと、簡単にできる口腔体操についてわかりやすく解説します。
1.誤嚥とは?なぜ起こるのか
「嚥下(えんげ)」とは、口の中の食べ物をのどを通して胃へと送り込む一連の動作のことです。
このとき、のどには「食道」と「気道(気管)」があり、健康な状態では、のどのフタ(喉頭蓋:こうとうがい)がしっかり閉じて食べ物が気道に入らないようになっています。
しかし、加齢や筋力低下、病気などの影響でこの動きがうまくいかなくなると、飲み込みの反応が遅れたり、力が弱まったりして、食べ物や飲み物が気管に入り込むことがあります。これが「誤嚥」です。
誤嚥は一度きりではなく、毎日の食事の中で少しずつ起こっている場合もあります。むせることが増えてきたら、注意が必要です。
2.誤嚥を防ぐために大切なポイント
1.食事の姿勢を整える
誤嚥を防ぐ基本は「姿勢」です。
背中をしっかり伸ばし、椅子に深く腰掛けて、頭が軽く前に傾いた姿勢(あごを軽く引く)をとることで、気道をしっかり閉じやすくなります。
正しい姿勢のポイント
- 背筋をまっすぐにして座る
- 足の裏をしっかり床につける
- あごを軽く引く
- イスとテーブルの高さを合わせる
寝ながら食べる、背もたれに深くもたれたまま食べる、上を向いて飲むといった姿勢は、誤嚥のリスクを高めますので注意しましょう。
2.一口量を少なくする
一度にたくさん口に入れると、嚥下反射が追いつかず、むせやすくなります。
一口はスプーン1杯程度を目安に、小さめにすると安全です。
また、急いで飲み込もうとせず、口の中でしっかり食べ物をまとめてから飲み込むようにすると、気道に入りにくくなります。
3.飲み物はとろみをつけるのも有効
さらさらした水やお茶は、のどを通るスピードが速いため、誤嚥しやすい液体です。
嚥下機能が低下している方には、とろみをつけることで安全に飲めるようになることがあります。
とろみの目安
- スプーンですくうと少し重さを感じる程度
- コップを傾けたときにゆっくり流れ落ちる程度
市販のとろみ剤を使うほか、味噌汁やスープなど自然にとろみのある食品を活用するのもおすすめです。
4.食べるスピードをゆっくりにする
早食いは誤嚥の大きな原因になります。
1口ずつしっかり噛んで飲み込み、口の中が空になってから次の一口を入れるように意識しましょう。
「よく噛む」こと自体が口の筋肉を動かすトレーニングになり、誤嚥予防にもつながります。
5.食後すぐに横にならない
食後すぐに横になると、食べ物や唾液が気管に流れ込み、誤嚥性肺炎の原因になることがあります。
食後30分程度は座った姿勢を保つようにしましょう。
また、食後のうがいや歯みがきで口の中を清潔に保つことも大切です。
3.誤嚥予防に効果的な口腔体操
食べ方や姿勢の工夫に加えて、毎日の「口腔体操」で舌やのど、唇の筋肉を鍛えることが、誤嚥予防にとても効果的です。
ここでは、自宅で簡単にできる体操をご紹介します。
1.唇・頬のストレッチ
唇をしっかり動かすことで、食べ物を口に取り込みやすくし、飲み込む準備を整えます。
やり方
- 口を「うー」とすぼめて5秒キープ
- 次に「いー」と横に広げて5秒キープ
- これを5回繰り返します
※声を出しながら行うと、表情筋のトレーニングにもなります。
2.舌の筋トレ(舌の上下・左右運動)
舌の筋力が弱くなると、食べ物をのどの奥に運ぶ力も低下します。舌の動きを鍛えることで、誤嚥予防につながります。
やり方
- 舌をできるだけ前に突き出して5秒キープ
- 舌を上に向けて5秒、下に向けて5秒
- 舌を左右に大きく動かす
- 5セット程度繰り返します
※鏡を見ながら大きくしっかり動かすと効果的です。
3.あご引き嚥下(安全な飲み込みの練習)
誤嚥予防の基本姿勢「あごを軽く引く」練習です。
飲み込むときに気道をしっかり閉じる感覚を身につけます。
やり方
- 背筋を伸ばして座る
- あごを軽く引く
※嚥下機能が低下している方は、医療機関や歯科での指導のもとで行うと安心です。
4.「パ・タ・カ・ラ」発音体操
「パ・タ・カ・ラ」は、それぞれ唇・舌・のどをしっかり動かす発音です。
口腔機能のリハビリとして広く活用されています。
やり方
- 「パ・パ・パ・パ…」と10回繰り返す(唇の動き)
- 「タ・タ・タ・タ…」と10回(舌の先)
- 「カ・カ・カ・カ…」と10回(舌の奥)
- 「ラ・ラ・ラ・ラ…」と10回(舌の先のしなやかさ)
慣れてきたらテンポよくリズミカルに行いましょう。食前に行うことで飲み込みの準備運動になります。
4.誤嚥を防ぐための歯科医院の活用
歯科医院では、虫歯や歯周病の治療だけでなく、口腔機能検査や嚥下リハビリも行っています。
次のような方は、一度相談してみることをおすすめします。
- 食事中によくむせる
- 飲み込みにくい感覚がある
- 舌や唇の動きが悪くなった気がする
- 入れ歯が合わず、しっかり噛めない
歯や入れ歯の調整だけでなく、その人に合った口腔機能トレーニングを受けることで、誤嚥予防の効果が高まります。
5.まとめ
誤嚥は、加齢とともに起こりやすくなる自然な変化ではありますが、
「仕方がない」と諦める必要はありません。
- 食べる姿勢を整える
- 一口量を減らし、ゆっくり食べる
- とろみや食材の工夫で安全に飲み込む
- 口腔体操で舌・のど・唇を鍛える
こうした毎日の積み重ねで、誤嚥リスクを大きく減らすことができます。
最後に
誤嚥を予防することは、単に「むせないようにする」というだけでなく、
「食べる楽しみを長く守る」という、とても大切なことです。
「最近むせることが増えた」「飲み込みに不安がある」
そんなときは、早めに歯科医院で相談しましょう。
岡山市北区中仙道にある多田歯科医院
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